野生復帰計画
放鳥の意義
本来、野生生物は自然環境下で存続することが望ましいと考えられます。日本では野生のトキはいなくなりましたが、トキの存続が可能となる自然条件等を整えたうえで、過去に生態系を構成していたトキを自然に放鳥することは、本来の生態系を復元することにつながります。
トキが安心して暮らせる環境は、自然と人間の共生が可能な、私たち人間にとっても安全で安心な環境となり、本当の豊かさをもたらしてくれます。
環境再生ビジョン
環境省では、平成12年〜14年度までの3か年にわたり、「共生と循環の地域社会づくりモデル事業(佐渡地域)」を実施しました。平成15年3月にその取りまとめとして「環境再生ビジョン」を策定し、この中で「平成27年頃、小佐渡東部に60羽のトキを定着させる」という目標を掲げました。これを受けて、平成16年1月、種の保存法に基づく「トキ保護増殖事業計画」にトキの野生復帰を位置づける改訂を行い、この目標を達成するため、環境省はじめ様々な主体が連携を取りながら、下記の3つの項目を柱に野生復帰の取り組みを進めています。
環境再生ビジョン 目標達成のための実施項目
トキの増殖、野生順化
- 保護、増殖、個体管理(トキ保護センター)
- 野生順化訓練(野生復帰ステーション)
自然環境整備
- 棚田の復元、ビオトープの造成
- 環境保全型農業の推進
- 河川や沢環境の改善
- 営巣木保全、森林整備
社会環境整備
- 「人・トキの共生の島づくり協議会」の設置
- 環境教育プログラムの開発
- ボランティア計画の立案
- その他
また、環境省では、鳥類生態学等の専門家で構成されるトキ野生復帰分科会を設置し、専門家の意見を聞きながらトキの飼育繁殖、順化訓練、放鳥計画、モニタリング計画を検討しています。